盗難届
そんなわけで、すったもんだの末、
クレジットカードを止める事ができました。
海外旅行保険の冊子やガイドブックには、
「必ず盗難届を出すこと」と書いてあります。
翌日、盗難届なるものを出すことにしました。
それで、警察を捜しました。
ところが、地図を持って、
「フェア イズ ポリス?」これが全く通じません。
発音が悪いのか?と「P! O! L! I! C! E!」と言ってもダメです。
「ホリスオフィス」と言ったら、
隣のビルのオフィスを教えてくれました。
そんぐらい解るだろう、と思いますが、誰も知りません。
この時、思い知りました。
ベトナムの一般人は、英語を全く知りません。
戦争で勝ったリバウンドなのでしょう。
高校生以上の年代は、学校でフランス語を習ったそうです。
高校生以下の年代は、英語を習っているそうです。
日本人経営者がいる店で聞いたら、
「公安 コーアン」と言ったら通じる、と教えてくれました。
しかしながら、警察の機能はしていないそうです。
「盗難届をもらうには、3日かかる。
その日にしてほしければ、袖の下が必要。」だそうです。
袖の下。やっぱ社会主義国はそういう価値観なんですよ。
公の仕事に就けば、お金が得れるわけです。
しかしよく考えれば、「盗難届」は、我ながら笑えます。
こないだまで戦争していたわけだから、生きててなんぼ、です。
そんなもん、届けてどうすんじゃ?です。
ベトナムには、保険もなけりゃあ、医療制度もありません。
バイクの接触事故に遭遇しましたが、
事故証明はおろか、
血だらけでそれぞれの方向に別れて行きました。
結局、盗難届はあきらめました。
海外旅行保険なんてくそくらえ。
財布なんてね、また買えばいいんです。
世界中どの国でも、盗られる方が悪いんです。
盗難届をあきらめた瞬間、この事件が思い出に変わりました。
そしてうちらに、笑顔が戻ったのでした。
=ベトナムの話はこれでおしまい=